crazy-tamako’s blog

私のオウムになってください

私の生活を分析するための、備忘録。
収支状況の分析。メモ。たまに趣味と夢の話。

悲しみの歌(遠藤周作)

2023/2冊目

 

深い河、沈黙、海と毒薬を去年経て、全く救いのない海と毒薬の登場人物のその後があると知ったのと、浅井リョウさんの正欲を読んだ後、戦後作品のコテコテの文章が恋しくて回帰。

 

ただひたすらに悲しくて、苦しくてビシャビシャに泣いて終わった。ガストンがとてもよかった。この遠藤周作著作界の光である。

ガストンがたくさん泣いて、ガストンが物理的にもメコメコにされて、ガストンが一生懸命に人に尽くそうとする。ガストンがいるから、わたしは最後まで読めたな。

深い河にもガストンはいたね、救いを求める人の話に彼は現れる。イエスかな。 

 

海と毒薬に救いがなかったから、それを求めたはずだったのに、とても苦しくて悲しかった。

読後の私の夢は、知人が勝呂のような結末を迎える、なんとも言いようのない内容だった。

でも、苦しくて悲しかったけれども、読後には確かに、沈黙の表紙のような、雲間に一瞬だけ現れる太陽光のようなそんな救いがあると感じたのは確か。それはガストンではなくて、勝呂の生きてきた人生の中の、勝呂自身が見た一筋の光だと思いたい。

 

浅薄な正義、枯渇した想像力、豊かな自己憐憫、身勝手な自己救済、傲慢で強欲な人間たち。そんなものが渦巻くこの世界で、生きていかないといけない。

悲しくて、苦しくて、それでも生きていくためにどうにかこうにかするという話はよく見るけど、生きていくことを超越した人生の救済の究極の話だった。

 

遠藤周作作品のいいところは、この世界に共通する精神世界の根底にアプローチしてくるところ。社会ではなく、人間とのつながりではなく、個々の心にあるたまねぎに響かせてくるところ。。。

 

遠藤周作は、こんな作品を描きながらそれでもちゃんと生きて著作を残してくれているのが、すごい。そこの折り合いはなんだったのかな。

たまねぎなのかな。

 

私、たまねぎ好きだな。